遺伝子工学実験:大腸菌を光らせる!?🧬
こんにちは!中央大学理工学部 生命科学科の学生です。
今日は、高校生の皆さんが一番気になっているであろう「大学の実験」について、お話をしようと思います。
今回のテーマは、必修科目でもある「遺伝子工学実験」。
3年にやることになると思います。内容としては、極限まで圧縮した内容を話すと、大腸菌を光らせます(笑)。
普通、大腸菌は光りませんよね。でも、いわゆる「プラスミド」等を使ってそれを可能にするんです。
まず、単位取得についてお話します!
単位取得には、ほぼ毎週課されるレポートの提出が必須です!この通り、この遺伝子工学実験は毎週提出があるのでかなり忙しくなります。また、実験前には当然プロトコルを作成すると思うんですが、それの提出もあるんです!少しでも不備があると、再提出になります(´;ω;`)私もなりました。
また、レポートは毎週、仮提出というシステムがあり、した人はTAの方からアドバイスをいただけて、よりよい評価を得ることができますよ!でも、仮提出したなら指摘事項はしっかり治しましょう!私の友人は間違えて修正しないまま本提出し、ガチ目にキレられかけているのを見ました(笑)
レポートに関しては、こんな感じです。
こんな感じでわかる通り、この実習はTAや教授の方が本当に親切な人ばっかりです。今でもあそこまでしてくれるのは本当に感謝しかありません!実習中も、本当に親身になって教えてくれました。
それでは、具体的な実験の内容について触れていきます。
1. 全ての基本「マイクロピペット」
実験室に入って最初に手にする武器。それがマイクロピペットです。 高校の化学実験で使ったスポイトや駒込ピペットとは訳が違います。
「1マイクロリットル(1μL)」って想像できますか? 1ミリリットルのさらに1000分の1です。もはや水滴ですらなく、目に見えるか見えないかのレベル。
これを震える手で慎重に吸って、小さなチューブに移す...。 最初は**「え、これ本当に入ってる? 空気吸ってない?」**って不安になります。
でも、この操作が全ての基本。中央大の実習では、このピペッティング(ピペットを使うこと)を徹底的にやります。実験が終わる頃には、親指の筋肉がちょっと鍛えられているかもしれません(笑)。

↑実際の実験風景 ピペットを持っているのは管理人です(笑)
2. まるで魔法、「光る大腸菌」を作る実験 🦠💡
遺伝子工学実習と言えば、やっぱり「形質転換(けいしつてんかん)」。
簡単に言うと、「大腸菌に、クラゲの光る遺伝子(GFP)を無理やり入れ込んで、大腸菌を光らせてしまおう!」という実験です。
手順はざっくりこんな感じ。
- 大腸菌を氷で冷やしてビックリさせる。
- 42℃のお湯に一瞬だけ漬けて(ヒートショック)、さらにビックリさせる。
- そのショックで大腸菌の膜が緩んだ瞬間に、光るDNA(プラスミド)を滑り込ませる!
文字にすると結構強引ですよね。でも、これがセントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク質)を体感できる一番の瞬間なんです。
翌日、いろいろ工程を経て、特殊な光を当てた瞬間...
「うおっ、光ってる!!!」

↑すげー見づらいけど、若干光ってる!

↑若干光っているのがわかりますか?本当はもっと光るらしいんですけど、私たちの班はこれが限界!
シャーレの中で、コロニー(菌の集まり)が鮮やかにに発光しているのを見た時の感動はヤバいです。教科書で「DNAは設計図」って習うけど、「あ、本当に設計図を書き換えたんだ」って実感できる瞬間です。もう学生でもこんなことできる時代になったんですね。

↑今回の大腸菌の塩基配列。すげーごちゃごちゃしてる。
3. 「失敗」の話 😱
でも、実験はいつも成功するわけがない。ここが大事なところ。
- 「コンタミ」の恐怖
- 雑菌が混入することです。無菌操作をサボると、目的の大腸菌じゃなくて、空気中のよく分からないカビが生えてきたりします。「あ〜私のシャーレ、森になってる...」という悲劇もたまにあります。
- PCRで何も出ない
- 特定のDNAを増やす「PCR法」。数時間かけて反応させたのに、電気泳動(DNAを見るための分析)をしたら失敗。なんか変なバンドある。多分ゴミだろうなこれ、、、みたいに「虚無」です。原因は、唾液か空気中か、、

↑PCRの測定結果の例(なんかすごそうでしょ)
大学の実験が高校と違うのは、「失敗した時にどうするか」を考えるところ。 この実習では、親切な先生やTAの方がいるので、一緒に考えてもらってもいいかもしれません。
中央大は、教授やそこにいる人が良い人ばかりな気がします。そこが、中央生命科のいいところかもしれません。
4. 中央大・後楽園キャンパスの実験環境 🏢
私たちがいる後楽園キャンパスは、都心のど真ん中(東京ドームのすぐ近く!)にあります。 実験で疲れたら、近くで美味しいランチを食べたり、ラクーアで息抜きしたりできるのも隠れたメリット(笑)。
でも実験室に戻れば、そこはガチの研究現場。 高価な遠心機や、DNAを読み取るシーケンサーなど、プロの研究者が使う機器に学部生のうちから触れられるのは、生命科学科の大きな強みです。
さいごに:高校生の君へ
遺伝子工学実験は、ただの手順作業じゃありません。 目に見えないDNAという分子を相手に、頭の中で何が起きているかを想像しながら手を動かす、すごくクリエイティブな作業です。
「生物が好き」「実験が好き」 その気持ちさえあれば、ピペットの使い方が下手でも、最初は失敗ばかりでも大丈夫。
自分たちの手で、生命の仕組みをハックする感覚。 ぜひ、中央大学生命科学科で一緒に味わってみませんか?
実験室で、白衣を着た君に会えるのを待っています!