こんにちは!中央大学理工学部 生命科学科です。 今回は、3年生の後期に行われる、最も困難で最後の学生実験である名物授業「生理・生化学実験」をご紹介します。
先ほども申し上げた通り、「生理・生化学実験」は最後の学生実験です。
まず最初に、皆さんが気になっているレポートについてお話します。
レポートについて
結論から言うと、私たちの代(2025)はレポート提出は3回でした。
まず初めての実験で1回、またそれはほぼ確定で再提出になるので、もう一度完璧なレポートを仕上げて班員に査読してもらい、査読者が提出するので2回、そして後半は1度やった実験をもう一度行うので、それについて再びレポートを書く感じでした。
このように、この講義ではアカデミアの世界で行われている論文の「査読システム」が採用されています。これをやらなければならない、となった時私は「これはすごい実践的なシステムだな」と感じました。私たちはまだ学部生ですが、これをやることで公正なレポート(当たり前ではあるが)を書くことが求められます。
余談:また、次に実習内容ですが、これがすごい!詳しい内容は後述しますが、とても工程が多く、しっかり段取りを踏まないと1日では終わりません。私たちの班も、8時くらいまで実験してました(´;ω;`)。どうやら、これでも内容は短くなったらしく、私たちの先輩はこんなもんではなかったようです。
さて、次はいよいよこの実習の内容について詳しく解説していきます!
高校の生物で習った「光合成」や「電子伝達系」。教科書の複雑な図を見て、「ふーん、そうなんだ」で終わっていませんか? この実験では、そんな生命のミクロなメカニズムを、自分の手で動かして「目撃」するのだ!
具体的に何をするのか
この授業のメインテーマの一つは、「ホウレンソウの葉緑体を使った光合成の解析」!
「えっ、スーパーで売ってるあのホウレンソウ?」 そうです、新鮮なホウレンソウから、実験室で自分たちの手で「葉緑体」を取り出すところからスタートします。生きている植物から取り出したばかりのサンプルを使うからこそ、しっかりとした結果が得られます。
実験のハイライト
1. 「光合成」をリアルタイムで観測
葉緑体に光を当てると、「Hill反応(ヒル反応)」という電子伝達反応が起きます。 実験では、DCPIPという青色の試薬を使って、この反応を目に見える形で追跡します。
光を当てた瞬間、試験管の中の鮮やかな青色がスーッと消えて、透明になっていく様子は感動的! 「あ、今まさに試験管の中で光合成してる!」という実感が湧いてきます。
すみません。実験当時は必至すぎて写真は撮れませんでした。<(_ _)>
2. 阻害剤でメカニズムを解明!
この実験の主な律速段階ともいえるほど、難しかったのが、阻害剤の工程です。 「阻害剤(DCMU)」や「脱共役剤(アンモニウム塩)」といった薬品を使います。これらは、光合成という工場のラインの一部をわざとストップさせたり、暴走させたりするものです。
- 「ここを止めたらどうなる?」
- 「ブレーキを外したら速くなる?」
的な感じで予測してから実験するのですが、私たちの班は予想と異なる挙動を示してしまい、班員全員で絶望した覚えがあります。
3. 失敗も学びになる!「探究」のプロセス
実験はいつも成功するとは限りません。私たちのように。「阻害剤を入れたのに反応が止まらない?」「逆に速くなった?」なんてこともあります。 じゃあ、失敗したらそれで終わり?そうじゃないですよ!
「なぜうまくいかなかったのか?」 「ピペット操作の誤差か?」 「試薬の鮮度か?」 「もしかして新しい現象か?」
仲間と議論し、原因を突き止め、時にはその場で再実験して真実を追求する。 そんな「科学者としての思考プロセス」を徹底的に鍛えられるのが、この授業の本当の魅力であると、私は思います。当時はめちゃくちゃきつかったけど。
4. この実験の難しいところ
生理生化学実験は最後の学生実験であり、この実験を終えればすぐに研究室に配属され、卒業研究を始めなければなりません。
そういった背景もあり、この実験の実習書にはこれまでの実験の実習書に比べ、具体的な試薬の添加量は記されていません。つまり、私たち自身で計算し、臨機応変に試薬を調整しなければならないということです。これがこの実習の難しいところで、試薬を調整する際、元となる原液(ホウレンソウのエキス的なもの)は測定日ごとに必ず変わるので当然原液の濃度も変わります。それに合わせて試薬を調整しなければなりません!このケース以外にも、測定結果をもとに試薬を調整する工程がたくさんあり、これがまた難しいんですよ!
なので、そういう意味であらかじめ内容を完全に理解しておくことは必須です。
先輩からのメッセージ
実際にこの授業を受けた先輩(3年生)に話を聞いてみました。
この実習は最後の学生実験ということもあり、とても時間的にタイトで、内容もとても難しいです。特に予習は必須だし、あらかじめ頭に原理を入れておかないと一生実験が終わらないです。レポートもこれまでで最高のレベルでの質が求められます。でも、レポートを書き終わって、すべての実験事項を完全に理解したら、本当に大きな達成感を得ることができます。
最後に、これだけは言わせてください。「絶対に、予習だけは欠かすな」
まとめは
「生理・生化学実験」は、単なる操作の練習ではありません。いわば中大理工生命科の学生実験のラスボスです。
たくさん脅してしまったけど、しっかり準備してやればどうってことありません。教授もTAの方も親切なので、頼ってみるのもいいとお藻います。
私のブログが、何かの助けになれば幸いです。